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<日本の福祉についてひとこと> その10 障害者の『肖像権』ということ
和子が以前利用していたデイサービス・センターから、何度かスナップ写真が届いたことがあります。『E型デイサービス』と呼ばれる痴呆専用の施設です。 ダム湖への散歩や、クリスマスでケーキを食べている写真でした。和子だけではなく、他の利用者の方も写っていました。 撮られる相手が知らないうちに撮るのは盗撮ではないかと、今ふと思い出して考えます。 6月のホームページに和子の写真を載せたあと、<お世話人>から「カメラの前でポーズをとる和子さんの素敵な笑顔」という感想のメールが届きました。もちろん、選りすぐりのスナップです。カメラマン冥利に尽きます。 本人が不用意なままで撮られたスナップの肖像権は一体どうなるのでしょう。他の利用者のご家族にも、一緒に写った和子のスナップが届いている筈です。「硬直した顔」を他人に見せたくないという、本人や家族の思いを感じないのだろうかと、不思議でした。 あわせて思い出すのは、前に書いた『午後の遺言状』のことです('99.7.24)。 誰でもカメラを使える時代になり、カメラマンの倫理も節度もわきまえない人が、やたらに他人のスナップを撮る今の状況は、”退廃現象”だと私は思います。仲間うちとそれ以外の場合の区別がつかない人が持つカメラは”凶器”になります。 何ヶ月もたって今こんなことに気付く私自身の鈍感さへの自戒も含めて書きました。 |
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