'97年6月9日

 小樽の山あいに、ピンクの谷うつぎの花が咲きはじめました。3カ月ぶりのレポートです。6月なのに“リラ冷え”で晴れた日も少なく、気温も十数度にしかならない寒い毎日です。私の胸のアタックも相変わらず少しありますが、夏はもうそこまで来ているので、あとしばらくのしんぼうです。

 和子は今10回目のショート・ステイです。今は4泊5日のショートステイを月2回利用しています。精神安定剤をやめてからは、“せんもう”はケアだけで対応するしかないので疲れます。でも、青空の下、芝生の上でおべんとうを食べたり、歌を一緒に歌ったりすることもできるようになりました。そんな時の彼女の笑顔は相変わらず素敵です。

 

 症状はやはり進んできています。楽譜を目でたどることができなくなりました。字は一字ずつは読めるようですが、一行終わって次の行へということがもうできないので、“読む”というレベルではありません。“字を書く”ことは全くできなくなったので私の知らない彼女の知己の方々へは、今年の年賀状で病気のことを書き添えました。洗った食器をふくという作業もうまくできなくなり、時々床に落とします。それでも、私が食事の仕度をしている間そばに立って何がしか手伝いをしているつもりになっていることもあるようなので、そんな過ごし方もしています。

 気持ちが不安定になりそうな時、彼女が知っている歌を一緒に歌うとよくなることもあるので、今は毎日何回も十数曲も歌います。でも彼女のメモリーにある童謡や唱歌や歌曲は何百曲もあるようなので、まだまだ続けられます。

 

 大好きだったNHKの『生きもの地球紀行』にも全く興味を示さなくなりました。平面の画像は受け付けないようで、テレビをつけることはなくなりました。私は見たい番組はビデオにとって、彼女が眠ったあとか、ショート・ステイの時にまとめて見ます。

 散歩の途中で出会う犬や猫、花たち、子ども達とは大喜びで接します。あすホームに彼女を迎えに行った帰りに“てのりぶんちょう”を買ってこようと思います。はじめてなのでうまく育つか心配ですが。

 この頃、あちこちで「癒し−Healing」ということばに出会います。私は何か心の奥にしみ通る思いでこのことばをかみしめています。まもなく、北海道の素敵な夏が来ます。又、元気を出して一緒に過ごしたいと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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