介護日記

 

 2013年7月8日 3.11から2年4ヶ月

 本当は3月11日に書くつもりでした。それなのに、新年のご挨拶をして半年たちました。

 あまりにも多くのことが起きました。「死者が出ているわけではない」などと妄言を吐く自民党の政調会長。実際には、地震関連で自殺者を含む死者は2000人近くになっています。それでも参院選の前哨戦と言われていた都議選は与党側の圧勝。でも投票率が5割に も満たない中で、得票率は圧勝なんていうものではないでしょう。

 民放のニュースの特集で、アメリカの原子力規制委員会を取り上げていました。政府・電力会社の人間は完全に排除して、民間の学者・研究者だけで総員3000名とか。スリーマ イル島原発事故の教訓を肝に銘じているのでしょう。そして別の面から、電力自由化で原発は商売にならない、廃炉までのコストを考えたら早く撤退したほうが傷が深くならないとか。

 福島第一原発の汚染水はどうするのか。先の見えない迷路をさまよっているとしか思えません。それでも政府・経産省・環境省含めて、原発からの撤退を言い出さない。そしてある民放のキャスターは言い放ちました。「私はもう60に近くなったから、あとのことは知ったこっちゃない・・と言いたいけれど、孫・子の世代への影響を考えると怖ろしい」と。原発再稼働をいう連中は、自分の孫・子の世代への影響は感じないのか。こんな感度のマヒした政治家に国民の運命を任せていいのか。

 参院選挙が始まりました。「ねじれ解消」と声高に言う与党。しかし、「ねじれ」あっての2院制度でしょう。アメリカの上院と下院はねじれが通常です。法案毎に妥協して成立させたり廃案になったりしています。参議院が衆議院の歯止めにならないなら、参議院は無くてもいい。

 書くことはたくさんあるけれど、今回は原発と憲法だけ書きます。参院選が始まってから、再稼働の申請は目白押しです。活断層が動くかどうか、それの予知はまだできないけれど、「疑わしきは動かさず」というのが当然だと思うのに、今の規制委員会は、「疑わしきは動かす」ということのようで、とても国民の命を預ける委員会とは言えません。
 憲法のこと。条文をいろいろ論議すればたくさんあるけれど、誰かも言っているように、争点は、憲法が「国民の権利を保障する」のか、「国民の国への義務を決める」のかです。権利と義務は並べて言われるけれど、主人公が国民か国かでは全く違います。「国とは何だ」、安倍総理の頭にあるのは、自分が大権を握っている国のことでしょう。

 新聞の世論調査は、早くも「与党圧勝か」などと見出しが踊り、記事の中に「まだ決めていない浮動票が2~3割」と書いています。でも、「学校は出たけれど・・・」という定職にもつけない貧困層には、選挙どころではないという人も多いでしょう。3.11で居住地を追われて避難しているしている人達は、どんな選択をするのでしょう。地震と津波は天災だけど、その後に被害者に起きていることは全て人災です。

 以下、私たちの近況を書きます。

 和子は変わらず元気です。若年性アルツハイマー発症から30年近く経ちます。東京で「中期症状」と診断されたのが1992年ですから、それから20年を超しました。私の単身赴任中のことを子ども達から個別に聞いて、遅くても1985年頃から初々期の発症があったことが判ります。東京時代から「教科書」どおりの経過をたどって、今は長期安定期が続いています。この病気で、「長期安定期」などとはどんな「教科書」にも書いてないのですが。

 いま私の腰に少し問題が起きています。東京時代から慢性腰痛があり、高校の山岳部顧問として軽いとはいえ荷物を背負って生徒と一緒に山を歩いていたから、そのせいかなと思いながら、近くの鍼灸接骨院に通って いました。
 それが5月初めぐらいから始終痛みが続き、ここのクリニックから痛み止めのボルタレンを出してもらってしのいでいたのですが良くならないので、近くの整形外科に行きました。レントゲンで左腰椎の何ヶ所かが「圧迫骨折」と判り、私もレントゲンの画像で確認できました。和子の鼻からカテーテルを入れて痰の吸引をしているのですが、左足に重心がかかっていたのは意識していました。
 「直りますか」、「いや直りません。腰椎ブロック麻酔の注射で楽になる筈です」と、痛い注射を打たれ、かなり楽になりました。「2週間ぐらい保つでしょう」と言われ、6月26日2回目の麻酔注射を打ちに行きました。また2週間ぐらい保つでしょう。ボルタレンも飲んでいるし、いま痛みはありません。ただ、真っ直ぐ歩いているつもりが、かなり左右にぶれていることが判りました。
 ここの介護・看護スタッフたちも考えてくれているので、改めてここ、教え子の医師が経営している多機能高齢者住宅に住んで良かったと思っています。現在は痛みのない毎日ですので、どうか心配なさらないでください。私も83歳になりました。「良く保っている」とスタッフたちにも言われています。

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