介護日記

 

 2006年2月17日 病床日記 その後

 和子が退院して2週間になります。
 退院の翌々日、皮膚科の往診医が来診。「肉芽の盛り上がりを妨げないように、当分の間腰を動かさないように」ということで、デイサービスの利用は延期。1日におきに訪問ナースが部屋まできて褥そうの手当をしてくれます。昼食はデイを利用しなくても実費で頼めるので、ナースが居るときはミキサー食を入れてくれます。胃瘻部分からのミキサー食の注入は以前書いたように医療行為なのです。それ以外の日の褥そうの処置とミキサー食の注入はもちろん私がやっています。

 内科的にはとっくに完治しているし、顔色もすっかり健康体に戻っているのですが、褥そう部を動かせないので、まだ完全に社会復帰とはいきません。もっとも病院の外科医は「完全に治るまでに半年はかかります」と言ったけれど、肉芽は順調に盛り上がっているようなので、雪解けの車椅子散歩までには完全に社会復帰できるのではと私は思っています。

 入浴が問題でしたが、 先週金曜日に訪問入浴サービスの業者が来ました。びっくりするほどシステム化されていて、ナースに若い男女のスタッフ合計3人で、持参の浴槽で寝たままで、頭から体中きれいに洗ってもらって、和子は気持ちよさそうでした。
 最初にナースが血圧・体温・脈拍を測って入浴に問題が無いことを確認して作業に入りました。ベッドや家具の多少の移動が必要だったけれど、ビニールのシーツを敷き詰め、2つに分解できるプラスチックの浴槽を部屋で組み立て、このマンションの浴槽にお湯を貯めてポンプと長いホースで持参の浴槽にお湯をはり、別の排水ポンプで汚れたお湯を浴室の排水溝に流すのです。病院ではストレッチャーに載せたまま浴槽に入れる、いわゆる機械浴のようだったけれど、訪問入浴はストレッチャーの代わりにハンモック状の布をピント張って、体を横たえたまま浴槽に入れます。
 1時間少しかかったけれど、部屋の中の様子もわかったので次回からは1時間で済むそうです。これで介護保険の1割負担で1回1300円弱の負担で済みます。

 病院の外科医が、褥そうから敗血症を起こして亡くなる人もいると聞きましたが、退院後その実例が意外に多いことを何人もの方から聞きました。最後は骨が見える状態まで進んで感染症で亡くなる方が少なくないというのです。

 和子は回復が早くて1ヶ月で退院できたけれど、2年前からやっているミキサー食が基礎体力を作ってきたのだろうと思っています。今回も夏に薬疹で入院した同じ病院で、主治医も同じ内科医で、対応してくれた栄養士も同じでした。入院患者の中で、経腸栄養(胃瘻から栄養を入れる)の方が全部製薬メーカーの栄養剤を使っていらっしゃる中で、和子にだけは普通の病院食をミキサーにかけ、裏ごしをして出してくれました。
 科学的な根拠は無いけれど、「人間は人間の食べ物を食べるのがいちばん」というのが、和子の2回の入院生活を終えての感想です。

 今回は、和子の退院後のご報告まで。

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