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2000年インフルエンザ始末記

 

 2月になり、あちこちの知人から、インフルエンザにかかったという便りがあります。
 私は去年で懲りたので、ワクチンを接種して欲しいと早くからホームに申し入れていました。秋になって、希望者にはホームで接種すると回答があり、スタッフ全員が先に、そのあと入所者のうち希望者が接種を受けました。
 私はインフルエンザにかかった経験が無いけれど、「ホームへの出入り許可証」のつもりで、主治医の病院で接種を受けました。

 去年はホームのソーシャルワーカーから、「介護のスタッフがたくさんインフルエンザにかかり、入所者にうつすといけないので休ませています。スタッフの手が足りないので和子さんのショートステイを一週休んでください。」と電話がありました。
 週末はデイサービスが休みで、私の寝不足で共倒れになるといけないので、電話でねばってやっと1泊の了解をとりました。
 土曜日のあさ和子を連れてホームに行ったときの異様な情景を忘れません。新館と旧館の間の間仕切りが閉め切られ(いつもは夜間だけ閉じます)、スタッフの人影がほとんど見当たらず・・・という状態でした。もちろん150人の入所者の方は生活しています。
 ちょうど1年前のことです。

 この冬は何事もありません。去年のあの異様さは一体何だったのだろうかと思います。
 条件として違うのは、スタッフ全員と入所者の多数(55%)の方がワクチンを接種したことだけです。
 小児科医の毛利子来氏がワクチン無効論を主張しているけれど、私の実感としては全然ちがいます。

 道内の他の特養ホームで5人の方が亡くなったと2月4日報じられました。この冬初めての施設での死亡のニュースです。そのうちの1名はワクチンを接種済みだったそうです。
 もちろんワクチンが万能だとは思っていないけれど、和子が生活しているホームでみる限り、かなりリスクは減っていると肌で感じます。

 ”始末記”と書くのはまだ早いかも知れないけれど、和子が居るホームと私については、この冬は無事に済みそうです。
 でも私たちが接種を済ませた11月には、もうどこの病院もクリニックも「ワクチンは品切れ」でした。新聞も「ワクチン品切れ」と騒いでいました。

 インフルエンザがピークのこの時期になって、やっと「予防接種法改正案」が厚生大臣に答申されたというニュースが報じられました(2月9日)。
 去年の春厚生省が言っていた、インフルエンザ・ワクチンを65歳以上の高齢者には無料で接種する(アメリカが以前からそうです)という案から後退して、「料金の一部を自治体が補助」なのだそうです。
 しかも今年4月から実施ですから、次の冬にしか間に合いません。和子のワクチン接種の料金はホームが負担したけれど、私は病院で2回分5,000円を払いました。

 バブルの不良債権処理には間髪入れず湯水のように税金をつぎ込むのに、人の命を何と思っているのか・・・。
 北海道の施設では既に死者が出ています。
 この国は、「
自分のいのちは自分で守るしかない」のだと改めて思っています。

                    2000.2.10