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<日本の福祉についてひとこと その7

 福祉の現場で飛び交っている”ぞんざい言葉”について
『勘違い』あるいは『人権教育の欠如』ということ

 毎日ホームに通っていて、とても気になることの一つは、特に若いケア・ワーカー達がこともなげに利用者に使っている言葉です。「・・さん、御飯すんだ?」「入れ歯出して」「いま行くからね」etc.
 言われている相手は、平均82歳、最高104歳という高齢者です。こんな言葉が日常的に飛び交っています。言い方もきついし、最初はこの小樽特有の浜言葉なのかとも思っていました。でも年輩のワーカーで、「・・・しましょうね」と優しく言う人もいます。実状はワーカーのキャラクターまかせで放置されているという感じです。

 今どきコンビニやスーパーや、お役所や郵便局だってこんな言葉は使っていません。私は「それが年長者に対する言葉か!」と、親や教師や近所のおじさんからも言われて育って来た世代です。
和子は私より年は下だけど、対等なパートナーだと思っていたから、そんな”ぞんざい”な言葉は使っていません。

 フトいま思い当たるのは、以前<物申す>に書いた('99.4.4)ことです。「年を取ると”幼児の如くなる”」などという勘違い・思い違いはどうして起きているのでしょう。行動や知覚や、いろいろな能力が衰えてきていても、感情の領域が衰えて来ているとは私には毛頭思えないし、まして幼児扱いなんて論外です。

  日本語がひどくなっていると言われます。
ワーカーの家庭で”お年寄り”(これも差別用語です。いつか書きます)がどんな扱い方をされているかは知りません。しかしここは、その仕事で彼女たち(彼らもいますが不思議なことに、彼らは丁寧です)が給料をもらっているプロの職場の筈です。コンビニのマニュアル丁寧語には少し閉口だけど、介護の現場の”ぞんざい言葉”よりはずっとましです。

 誤解を恐れずに言えば、子どもは親や教師の心ない言葉にグレルことで反応出来ます。しかし物言えぬ(表現できない)入所者はどうすればいいのでしょう? 

 介護保険実施を目前にして、介護福祉士の養成機関や福祉の現場は、この状態をどうするのかと思います。

                     '99.8.8