授業時間使って業者模試を強制


 私の長男は市内の公立高校の1年生である。高校に入学してからこれで数回、某ゼミの入学案内がダイレクトメールで送られてきた。きょうきたのは「いまこそ希望大学へのスタートの時!! 2年後の大学受験に余裕をもって挑戦することを望まれるなら、迷わず○○ゼミヘ入学されたい」。
 商品の宣伝にしてはずいぶん思いあがった広告だが、これが全国の普通科高校1年生全部に送られているのだとしたら、その経費たるやばく大なものだろう。入会する生徒が何割いるのか知らないが、それでも経営が成り立っている商品なのだ。(年間1科目で3万円、5科目では7万8千円とある)。異常な世の中になったと思うのは親が年をとったせいか。
 ところがその息子の行っている高校では、そのゼミの模擬テストを、授業時間内に全員に受けさせた。(もちろん親から金を徴集して)。私も受験校といわれている高校の教師だが、正規の授業時間内に、特定の業者の模擬テストを、全員に、強制的に受けさせるなどということは、うちの学校では夢にも考えられない。学校がやるテストは教師の自作のものを、外部の業者模試は休日に希望者に、というのが教師の最低のケジメではないか。2年後全員が大学を受験するときまっているわけではないのだ。イヤだといったら(当然そういう権利はあるだろう)、その生徒はその日登校してどこで何をすればいいのだ。
 何年か前にはとても常識で考えられなかったことが「進学指導」の名のもとに堂々とまかり通り、親も子も教師もすっかりまき込まれてしまっているのではないかと私には思えてならない。道教委や市教委の見解もききたいと私は思う。

(北海道新聞「読者の声」 1981年2月23日掲載)

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