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「短期入所日数 拡大を認める」

 これは朝日新聞17日付け朝刊の記事です。「介護保険 あと15日」と毎日カウントダウンする短い記事が続いています。
 「ショートステイを利用できる日数の拡大について、医療保険福祉審議会の老人福祉部会が、厚生省の諮問した案を原案のまま認めた」という記事で、
半年間に利用できる枠が、例えば「要介護5」の場合6週間から14週間に拡大されるというのです。
 「過ちを改むるに、はばかることなかれ」という古い格言もあるし、改善されたことに文句はないけれど、元の
「6週間」という原案を作った役人の責任はどうなるのでしょう?
 普通の日本語の語感では、6週間から14週間への変更を、”拡大”とは言いません。”
根本的な変更”とでも言うしかないでしょう。
 
国民は仕事も出来ない厚生官僚を、税金を払ってやとっている余裕など無いのです。プロフェッショナルでない役人は辞めてもらうのが物事の筋でしょう
 実状を知っている者にとっては、机上の作文としか思えない代物が、元の案として諮問され、問題にされた形跡もなく決められてきたのですから、そんな審議会の面々も「
ハラを切る」べきでしょう。
 私たちは当事者だったから、元の案だったら、在宅では生きて行けないことがはっきりしていました。毎週末3〜4泊利用していた妻は、原案のままだったら、2ヶ月で半年分の枠を使いきってしまいます。
 

 「ホームに入所できて良かったですね」と勝手に解釈する人が居て閉口していました。
 『介護日記』に書いたけれど、あれはホームの側から「ショートステイの希望者が増えてベッドが回転できなくなったので、入所をなさいませんか」と言われて、幾晩か迷った末に決断したのです。
 もう一つは「介護保険が始まったら、利用できるサービスがどうなるか全然わかりませんから」と言われたこともあります。
 殆ど毎日会いに行くけれど、「静かな、クラシック音楽が聴ける家に連れて帰りたい」と思わない日は1日もありません。
 も
し去年6月の時点で今度の改正案が決まっていたら、私は躊躇無く在宅介護の道を継続していたでしょう。でも、もう「ルビコンの川は渡ってしまった」のだから、引き返しようもありません。
 「おいしい!」と言って食べてくれる妻が居ないという現実は動かしようもなく、ひたすら自分の為にだけ作って食べています。

 居宅介護の支援現場では、ケアマネージャーはとても困っているでしょう。
 
サービスメニューが毎日変わるのだから、4月を目前に控えて、ケアプランのたてようがないのだろうと思います
 カラスの鳴かない日があっても、雪の降らない日があっても、介護保険のサービスメニューの変更がニュースにならない日は無いのですから。
 
法案だけは何年も前に国会を通しておいて、猫の目のように変わる通達を出すのが、役人の権限とでも錯覚しているのではないかとさえ思います。                  

                    2000.3.18